昨日,愛知大学の経営学部が主催するプレゼン大会,Pubフェス2015が開催されました.私は審査員(5年連続)を担当しました.閉会式での講評では,トップバッターかつ緊張もあり時間が押し気味なこともあって短く終えましたが,ああいう場で上手く話せる他の先生方がうらやましいです.
話し足りなかった部分をここで語ります.
終わってみて思ったことは,
- スライドの質と元気具合について,多くのチームが一定の水準を保てている
- マーケティング色や商品開発色が薄れ,バリエーションが増えている
- 団体発表ではテーマにも結論にも意外性が無いものが目立つ
- にもかかわらず,論理展開に偏りがあったり飛躍があったりが目立つ
- 経営学(あるいは研究内容)に詳しくない人が,置いてけぼりになりがち
- 聴講者が少ない(特に予選)
- 質問者が少なく固定的
です.
私も人のことを言えませんが・・・.
1については,Pubフェスを柱の一つにして経営学部および各ゼミが築き上げてきた賜物であり,確たる実績だと思います.ただし,元気具合については,クドくて逆効果になっているものもありました.
2については,例えば私の担当ブロックでは
「ファイアボールは何故斜め下に飛んでいくのか?」
「食品廃棄物を用いたひらたけの菌床開発」
「地名から見えてくる日本の歴史」
など,独自性あふれるテーマの発表があり,それぞれが期待に応え(ある意味では裏切られ)面白いものとなっていました.そして,これらは全て個人での発表であり,だからこその独自性なのだろうと思いました.
3については,2の裏となります.本来はインカレ等を目標にした,ゼミ内グループでの発表なのだと思いますが,テーマはありがち,結論もテーマを読んだ瞬間に思いつく範囲内(期待を大きく下回るレベル),あるいは,斜め下にズレたものが目立ちました.想像力が足りていないのか,論理思考力が足りていないのか,安直あるいは目的に沿っていないアプローチを提案して,「きっと解決できるだろう」で止まっているのです.やるなら効果の検証,せめて,提案手法の実現に向けた活動の紹介まで行って欲しいのです.もしくは,実現困難でも独自性あふれるアプローチを紹介して欲しいのです.
4については,3の原因だと考えます.さらにその原因は,「最初に結論ありきで,かつ,そこまでガイドできるだけの調査・考察を行えていない」だと思います.優勝したチームについては,特に質疑応答から,その辺りを詰めることができていると感じましたが,他はそうでないように感じました.複数人での研究は,学生では上手く取りまとめきれないのかもしれません.その分,プレゼン自体に注力したくなるのかもしれません.しかし,それでは所詮そこまでだと思うのです.
5については,インカレ等を目標にして作り上げたものを「そのまま」出しているのが原因だと思います.私も含めて,審査員の多くは経営学やその周辺に詳しくありません.現在は外部の聴講者が少ないため,審査員以外には成立しているかもしれませんが,逆に言えば,外部の聴講者を呼び込めないということです.
6については,5に加えて,PR活動が十分でないことが原因と考えます.学生スタッフでは限界があります.経営学部の教員の方々には,もっとPRして頂きたいと思います.
7については,聴講者のほとんどが出場者で,質問するための心の余裕が無いということが原因のように感じます.聴講者が増えれば自然解決する部分もありますが,たとえ発表が控えていても質問できる猛者が現れてほしいものです.
という感じで,自分を棚に上げて色々と厳しいこと述べました.来年度は,これらの不満点がいくらか解消されていることを望みます.
最後に,取って付けますが,発表者の皆さん,スタッフの皆さん,委員の先生方,審査員の先生方,本当にお疲れ様でした.